【Step2】SD-WANの詳細理解

「SD-WAN」導入の進め方や成功のポイントとは?

インターネットやパソコンを使うことが当たり前になった昨今、コンピュータを効率的に利用するための環境構築は、大切な仕事の一つとなっています。

そんな中で着目されているのがSD-WANであり、多くの拠点であっても安心して利用できるインターネット環境を構築できるとして、導入企業が増加しています。今回は、そのようなSD-WANの導入の際に得られる利点や、どのようにして導入できるかのプロセスについて、そのポイントをご紹介します。

SD-WANについて

SDWANについて

SD-WANとは、Software Defined Wanの略語であり、企業のWAN環境を改善し、より快適なインターネットサービスを使用できるようにするための技術です。

一度にたくさんのユーザーがインターネットを使用すると、回線が混雑して速度遅延が発生したり、サービスの利用に支障をきたします。SD-WANはそのようなトラブルを避けるため、ネットワークの最適化を行い、既存の設備環境のままインターネット利用の改善を行うことができます。

SD-WANが求められるようになった背景

近年はデシタル技術の活用が多くの企業で取り入れられ、複数の拠点を有している企業では、インターネットサービスを活用して盛んにコミュニケーションが行われるようになりました。インターネットの利用はデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現においてか欠かせない取り組みであり、クラウドサービスのように、インターネットの存在がサービス利用の大前提となっている事例も少なくありません。

一方で、クラウドサービスの広がりやDX推進の結果、今までのインターネット環境を圧迫する影響ももたらすようになりました。特にWeb会議ツールのように、多くのユーザーがリアルタイムでつながりあい、音声や映像といった大容量通信を扱うサービスが増えているため、インターネットはさらに混雑してしまっているのが現状です。

そのような中で注目されているのが、SD-WANです。SD-WANを用いることで、インターネットサービスの利用に伴うユーザーの負担軽減を実現することができ、ネットを利用する際の遅延などの問題を回避することができます。データセンターを経由する必要がなくなるため、以前よりも快適にインターネットを利用することが可能となります。

SD-WAN導入のメリット

メリット

SD-WANを導入することによるメリットはとても多く、さまざまな効果を期待することができます。それについて説明してきます。

通信負担を改善できる

SD-WANを導入する最大のメリットは、「通信負担の改善」です。SD-WANはインターネットブレイクアウトと呼ばれる技術を実現させるために役立つのですが、これは上で説明したデータセンターを経由させない接続方式です。大きな組織で発生することが多い通信の一極集中を防ぎ、混雑を回避することが可能となっています。クラウドサービスが想定していたほどパフォーマンスを発揮しない場合にも、SD-WANによって改善できる場合があります。

また、このアプリによる通信は、どのような通信方式で接続するか、という通信設定についてそれぞれのアプリで設定できるため、それぞれのパフォーマンスに合わせた運用が可能です。

デバイス設定や通信設定をリモートで行える

SD-WAN導入の二つ目のメリットは、ゼロタッチプロビジョニングの実現です。これは、それぞれの拠点ごとのネットワーク機器の設定を、クラウド経由でリモートで実施するという技術です。従来のネットワーク機器は、専用のネットワーク機器を各拠点に設置するだけではなく、ネットワーク担当者が直接拠点へ出向かい、セットアップが必要となるケースもあります。この場合、担当者派遣のために時間と費用が必要となりますが、SD-WANを導入することにより、クラウド経由で対応することが可能になります。

電源を現場社員にONにしてもらうだけで、本社からリモート設定を行えます。また、設置した機器やネットワーク情報については管理者画面を見ることでリアルタイムで確認することができるため、導入した機器の運用状況を把握することができますし、トラブルシューティングについても、リモートで対応することができるようになります。

コスト削減効果が期待できる

SD-WANを導入することは、回線運用コストを削減することが可能になります。本社と各拠点をセキュリティ的に安全に接続するためには、今までは専用の回線を別途契約する必要がありましたが、専用回線方式だと通常の回線よりも高額な契約が必要となっていました。

しかし、SD-WANを導入した場合、専用回線でなく通常のインターネット回線を利用して運用することが可能であるため、回線コストを減額させることが可能です。インターネットブレイクアウトの実現には新規回線の契約が必要になるのですが、既存回線を使い続けたり、専用回線を契約したりするよりも遥かに安価に抑えることができます。

また、今までの回線契約ではネットワーク管理を個別にモニタリングしなければなりませんでしたが、SD-WANの場合は一括で管理することが可能になります。クラウド経由で管理コンソールを運用することによって、一元管理を実現することができます。管理工数を減らすことができるということは、IT担当者の負担を減らすことに繋がりますし、業務効率化や担当者の削減へと繋がります。

SD-WAN導入の注意点

SDWAN注意点

SD-WANの導入検討をするときは、自社にとって最適なのかどうか、導入することでトラブルが起きる可能性はないのか、について事前に確認する必要があります。「SD-WAN」導入時の三つの注意点について説明します。

①導入のタイミングを精査する

一つ目の注意点は、導入するタイミングです。SD-WANを導入することは、メリットこそ大きいものの、既存のネットワーク環境を一度リセットする必要があり、新規に通信環境を整備することになります。

多くの業務がインターネット通信を介して行われている今日の企業活動において、ネットワークを変えるということは、それに伴い一部の業務が一時停止する可能性があります。24時間で稼働している工場の運営を伴う業種の場合などは、移行のタイミングを検討する必要があります。ネットワーク環境を変更する場合は、移行する時にどのような影響が生じるのか、発生する影響を回避するにはどのような対策が必要であるのか、入念に検討しておきましょう。

導入時にはベンダーの選定やベンダーとの打ち合わせなど、事前準備に想定以上の時間がかかることもあります。導入する時はスケジュールに余裕を持ち、可能な限り移行コストが大きくならないような仕組みづくりを検討することが必要です。

②セキュリティ対策を怠らない

SD-WAN導入時には、今まで利用していた専用回線を縮小する、もしくは廃止することになるケースもありますが、既存回線利用時よりもセキュリティレベルが下がる場合、代替案を用意しておくことが必要です。

サイバーセキュリティ対策は今日の企業活動を支える重要な取り組みであるため、セキュリティ要件を引き下げてしまうのは万全ではありません。SD-WANに移行したとしても既存のセキュリティレベルを維持することができるのか、あるいはなにか新しいセキュリティツールを導入する必要があるか、考慮することが必要です。

③拠点数が少ない場合は効果が小さい

SD-WANを導入した時に効果が大きいのは、複数拠点が存在しており、拠点ごとの専用回線の費用を削減することが可能、あるいは回線を運用する費用の削減が実現するようなケースです。SD-WANを導入した場合、すべての企業が満足のいく導入効果を得られるとは限りませんし、拠点の数が少ない企業の場合は、むしろコストが大きくなってしまうケースもあります。
ネットワークを移行する際にかかる初期費用などはそれなりの金額になるため、事前に移行効果を計算し、導入するか否かの決定をしましょう。

SD-WAN導入の進め方

導入の進め方

上記に書いた注意点を解決させたうえでSD-WANを導入するためには、適切な導入プロセスで導入することが必要です。順番に見ていきましょう。

既存課題の洗い出し

最初に必要なことは「既存課題の洗い出し」です。ネットワーク環境の観点でどのような問題を抱えているのか、あらかじめ理解しておく必要があります。回線事情が逼迫していたとしても、まずSD-WANを導入するのではなく、回線の契約を見直し、契約することで問題なく解消できる場合があります。

大切なのは、今抱えている課題に対して最適なソリューションを選択することです。回線の契約を見直した、システムを強化した、にも関わらず、速度が改善されていない、サービスがスムーズに利用できない、といった課題が起きているならば、SD-WANの導入を検討することが必要です。

ソリューションやベンダーの選定

SD-WANの導入を検討するときに行う最初のステップは、どの会社のサービスを利用するかの選定作業です。SD-WAN製品にもたくさんの種類があり、WANとしての課題を解決するのに最適化されたサービスやSD-LANと呼ばれるデータセンター法人向けの製品をベースとしたサービスなど、様々です。

ベンダーによって提供する製品、サービスは違いますし、ベンダーによってサービスの提供方式や強みなども違います。サブスクリプション形式でのサービス提供に力を入れていたり、WAN高速化に力を入れていたり、またはオールラウンドなサービス提供に力を入れているところなどがあります。

自社の課題に最も適しているソリューションを、打ち合わせを重ねながら選定しましょう。

機器の設置・工事

SD-WANの導入というものはオンラインですべてを完了させることはできないため、機器の設置などの工程にはある程度時間を要します。サービスそのものはクラウド経由で提供されるのですが、実装までに時間がかかる、ということを理解しておくことが必要です。

SD-WAN導入を成功させるポイント

成功するポイント

SD-WANを導入するときの成功のポイントがあります。最後に以下の2つの点を確認してください。

①会社の規模にあったツール導入を進める

一つ目は、導入する会社の規模にあったツールを選定するということです。SD-WANを導入する効果、というものは、会社の規模、また導入するツールの想定規模、によって大きく変わります。自社にとって最適な製品、ツールを選ぶことで、コストを最小限に抑えることができます。

②拠点ごとに適切なセキュリティ環境を構築する

二つ目は、拠点ごとに適切なセキュリティ環境を構築することです。SD-WANを導入したとしても、セキュリティが不足していたり脆弱性が存在する場合、別途セキュリティ対策を行う必要があります。ファイアウォールの導入などを検討してください。昨今のSD-WANの製品によってはセキュリティ対策に力を入れている商品も多くあるため、セキュリティ対策をSD-WANのみで完結することもできます。自社のシステムとの相性を確認しながら、導入を進めてください。

まとめ

SD-WANは複数拠点を有する企業にとって、大きな問題解決となり得ます。インターネットやクラウドサービスの普及により、通信回線を改善する技術の重要度はますます増加していくことになります。今後のDXによっては、さらに通信環境への負荷が増大する可能性もあります。早めに対策を進めておくことが大切です。

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